首里城の奥深くへ   〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 28〜

首里城の復元整備工事が今なお続いていることをご存知だろうか。沖縄戦線で形あるものはすべて焼失し灰燼に帰した首里城。それから優に半世紀以上の歳月が流れている。気が遠くなるほどの根気と努力で忠実に復元されてきたに違いない。

1992年完成区域から順番に開園し、復元工事のまだ半ばの2000年に世界遺産に登録されている。世界遺産の厳しい審査基準は、その修復・復元において可能なかぎり当時の建材・工法・構造の採用まで細部にわたって求めている。この世界遺産登録で復元された首里城などの真実性が世界的に裏打ちされたわけである

”瑞泉門”、そして左に見える修復中の”漏刻門”

現在復元されているのは首里城全域の6割ほどで、これから新たに復元される門や御殿が順次公開されてゆくとのことであった。

さて首里城訪問の続きを始めよう。

”歓会門(かんかいもん)” を抜けると上り石段が目の前にあり、見上げると上にもうひとつ新たな門が待っていた。第2の門になる ”瑞泉門(ずいせんもん)” である。

石階段右脇にある”龍樋(りゅうひ)”と呼ばれる湧水場からこの名が付いたのだが、500年も枯れることなく湧き出る水は下方の ”円鑑池(えんかんち)”へと注いでいた。

修復中の”漏刻門(ろうこくもん)”、”広福門(こうふくもん)”を連続してくぐり抜けると”下之御庭(しちゃぬうなー)”と呼ばれる大きな広場に出た。


この広場は城内の各区域へとつながっており、ひと休みもできるエリアとなっている。方角で簡単に説明すると、今通り抜けてきた”広福門”が広場の北になり、南には祭祀域の”京の内”、西には素晴らしい夕景が見られる展望台”西のアザナ”、そして東が首里城中心部の正殿へ続く”奉神門(ほうしんもん)”という配置である。

                      この”奉神門”より奥が有料区域

有料ゾーンの入口になる”奉神門(ほうしんもん)”をくぐると広場があり、正面に正殿、左に北殿、右に南殿・番所と広場を囲むように建てられている。この広場を御庭(うなー)と呼び、重要な式典はここで実施された。

有料区域の鑑賞ルートは南殿から入室し、時計回りに正殿、北殿へと巡る。南殿は番所として利用された場所だったが現在は展示室となっており、ここだけ撮影禁止になっていた。

この南殿に並ぶように築営されているのは王が執務したという書院で、薩摩からの使節などもこの区域で接待したとある。

正殿は王の政治執行の表舞台だったためか内外ともに華麗な造りになっている。正殿の表には3mを超える一対の砂岩大柱が立ち、王の象徴である龍が彫られている。雲型飾り瓦や本瓦を葺いた屋根には金のシャチホコならぬ龍頭が三体。

また内部2階の玉座両脇にも黄金の龍像が控えていた。係員に尋ねてみたら実に正殿だけで33体もの龍が潜んでいるとのことだった。同時に係員から後戻りはできないと釘を刺された。奔放な行動をしかねない顔をしていたのだろうか。次の機会に恵まれたら数えてみよう。

正殿の表と1階内部

朱色と金色で彩色された内部は照明で光輝いており、華美な中にも重厚さを失わず見事な誂えで造り込まれていた。正殿は三層の建築だが、3階は公開されておらず風や通気を考慮した吹き抜けの屋根裏部屋になっているらしい。

そして北殿へとコースをたどる。往時ではこの北殿の建物が一番活気があり人で賑わっていたようで、中国皇帝からの冊封使(さっぽうし)を接待したところでもある。幕末の頃、来島したペリー提督もこの館で宴に興じたとある。

                      新たに甦る”淑順門”

北殿を出ると ”右掖門(うえきもん)”、”久慶門(きゅうけいもん)” を抜ける一本道となり城外へ出てしまった。この有料区域に入ると順路通りに回ったあと、城郭外に直行することになるので注意を要する。

首里城の復元工事は現在も続いているが、出口に向かう途中”右掖門”の奥に切り出された石灰岩が積み上げられ新たに”淑順門(しゅくじゅんもん)”が甦りつつあった。着実に再生されている。

城外へ出されたついでに例の守礼門前の店でかき氷のショートブレイク。しばらくご主人と雑談後、再び城郭内へ向かう。陽光も陰りを見せはじめ、暑さも落ち着きを取り戻してきた。

”奉神門”前の広場に戻り、祭祀域の”京の内”から見学を再開。深緑の森がけっこうな範囲で広がり城内とは思えない雰囲気が漂っていた。聖域内をゆっくり散策し、森を抜けると”西のアザナ”に行きついた。城郭の西端に位置し130mの標高を持つ物見台だったが、現在はバリヤフリーに対応した木造りの展望台に生まれ変わっている。

那覇市街とその先の東シナ海を一望できる眺望がしだいに夕景に染め上げられてゆく。その昔はここで時を知らせる鐘が打ち鳴らされていたらしい。訪問者が頻繁に入れ替わるが、時折ひとりだけになる。そんな瞬間には自分が自然の一部に取り込まれてゆく感覚になる。

とっぷりと日が暮れるまでここにいようと、心のどこかで決めていた。


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