雄大な自然に包まれた花と海と魚たちの大公園   〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 50〜

沖縄滞在中にある案内告知が目にとまった。サルバドール・ダリの彫刻作品が33年ぶりに沖縄へ戻るという。1975年に開催された沖縄国際海洋博のためにダリが制作した作品で、スペインから期間限定の里帰りになるらしい。

展示されている場所は北部の本部半島(もとぶはんとう)西海岸にある海洋博公園ということだった。どうしても一目見たくて、中北部探索の旅を一時ストップし急遽北部へ向かうことにした。

那覇から北部までのバス旅行はさすがに距離があり、まずは名護BTまで行き、そこで乗り換えて海洋博公園を目指す。片道3時間という南北縦断の気のなが〜い道のりである。

すっかり午前中の日課になってしまったバルコニーでの日光浴や読書を断念し、早起きし一路「名護」へと出発。今まで何日もかけて歩いた恩納村の海岸線を窓外に眺めながら約2時間、名護のバスターミナルに着いた。

山入端(左)と崎本部(右)の美しい海岸線

一服する間もなく、出発しかけていた本部半島線のバスにあたふたと乗り換えた。バスは国道58号線から国道449号線に進路を変え、本部半島の海岸線を西へと走る。途中に通り過ぎた「山入端(やまのは)」や「崎本部(さきもとぶ)」などはあまり知られていないが、恩納村の海岸線と比べても甲乙つけがたいほど美しかった。

乗り合わせた乗客が皆降りてしまい、車内が筆者ひとりになった。これ幸いに後部座席をルンバ(円盤型の自動掃除機)のごとく渡り歩き、写真を撮りまくっていると運転士から声をかけられた。

てっきり危ないから車内では動き回らないようにとの注意かと思っていたら、想像だにしていないことを質問されてしまった。 「海洋博公園の水族館へ行くんじゃないでしょうね?」と。

質問の真意がわからず、「いえ、そのつもりですが。何か問題でも?」と答えると、このバスはそこまで行かないという。乗った本部半島線という路線は正しかったのだが、ルートがふたつあると説明をしてくれた。

ひとつは本部半島西海岸沿いの外周を巡り海洋博公園経由で名護BTへ戻るルート。

もうひとつはずっと手前の内陸を循環し名護BTへ戻る今乗っているバスのルートである。

海洋博公園に一番近いバス停の浦崎で降りることになってしまった。よくよく歩くことに縁ができてしまったようだ。

しかし親切に声をかけてもらわなければバスターミナルへ戻っていた。


これこそコミュニケーションツールの原点 「人間言語」だと痛感。ツールなど無くても気持ちさえあれば会話は成立するのである。

東京の都バスなどでは味わうことのない経験で、少しだけ豊かになった気持ちを胸に海洋博公園を目指し歩きのスタートをした。バスを降りる際に聞いた話から40分ほどの歩きを覚悟していたのだが、15分ほどで南ゲートに到着してしまった。

おそらく彼の案内はバス停のある正面ゲートまでの距離だったのだろう。ダリを展示してある海洋文化館も正面ゲートに近いが、委細かまわず南ゲートから入園することにした。

公園内に入り最初に迎えてくれたのが熱帯・亜熱帯都市緑化植物園。都市建設や建設計画策定に大活躍していそうな堅いネーミングだが、園内はいたって柔らかで視界に優しい造園設計になっている。

                    動物型トピアリーのある ほのぼのとした装飾庭園

動物型に刈りこんだトピアリーや迷路のような生け垣は、まるでスタンリー・キューブリックの映画 「シャイニング」を想起させる。

が、そんなことを連想するのは一部のマニアックだけで、一般的にはファミリー向けの情景と云える。

この植物園の最大の特徴は台風や潮風などの害に耐性があり亜熱帯地域に最適な植物を、高木・低木・ヤシ・ツタ・芝などの地被類などに分け、見やすく判りやすく植栽展示していることだろう。

最初は樹木にあまり関心が無く、軽く見物がてら通り過ぎるつもりでいた。

しかし高木区域のアカギやガジュマル、ヤシ区域のアダンやココヤシと見学するうちにすっかり引き込まれてしまい、園内を歩き回ってしまった。

屋外の植栽展示のためか、敷地が広すぎて植物園の境界域がわかりにくい。あとで判明したのだが、この植物園の敷地は東京ドームをふたつ合わせた広さだった。

この広大な植物園を一通り見終わる頃には、見やすく判りやすいためか相当な知識が吸収できた気になる。ただ惜しむらくはせっかく仕入れた知識だが、一年も経たぬうちに記憶の彼方へと消えているに違いない。

1時間ほどで植物園をあとにしたのだが、強く印象に残っていたのは つる植物見本区にあったバーゴラの風景だった。バーゴラというのはブドウとか藤などのつる植物が生育できるように設置された棚のことである。

曲がりくねったプロムナード上に造られたバーゴラから下がる見慣れぬ植物のつる。逆光のもとで垂れ下がった”つる”が光る雨のように輝いていた。


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