公園で人気NO.1の美ら海水族館           〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 53〜

時間が止まったように静まりかえったダリの展示室から出ると、強い陽射しが眼にまぶしかった。展示室のあった海洋文化館から美ら海(ちゅらうみ)水族館の方へ歩くと、周りはしだいに人混みが加速してゆく。

入館するため売券場所まで来たがあまりの混みように気分が変わり、しばらく公園内を探訪することにした。一般の関心は ”ダリ” よりも、どうも ”ジンベエザメ” の方にあるようだ。

正面ゲートの近くにある噴水まで戻るとトピアリーのような動物型植物オブジェが目にとまった。

”ヤンバルテナガコガネ”(左)、”リュウキュウオオコノハズク”(右)

沖縄固有種の”ヤンバルクイナ”をはじめ”ノグチゲラ”など数体がある。

周りを注意して見回すとあちこちにあった。

”マンタ”、”ヤンバルテナガコガネ”など、まるでスタンプラリー状態に距離をとりながら設置されている。

そんなトピアリーを見ながら公園内を散策するうち、「おきなわ郷土村」に着いてしまった。


「熱帯ドリームセンター」を離れた後すぐにぶつかった場所だったが、ダリ作品の観賞を急ぐあまりパスをしてしまったところだ。

知らず知らずに、かなり南まで戻ってきてしまったようだ。ほとんど見学者もいないようだったので、この郷土村を見学することにした。

17世紀頃の琉球民家を再現したものだったが特に興味を引くものは見当たらなかった。郷土史や古民家建築に学殖なき身にはまさに猫に小判だ。

午後も少し深くなったのでそろそろ水族館が空く頃合と踏み、美ら海水族館方面へ向かってダラダラと歩いていると大きく長〜い階段に行きあたった。

階段を下った先はけぶるような青い海、そして水平線上に浮かぶ伊江島。階段を中心にしたシンメトリーが見事に構成されていた。島影まで計ったように対称をなしている。呼吸を忘れるほど異次元の世界だった。

正面ゲートからつづくメインロードの奥には海側へ降りる階段が

誰も来ないことを幸いに階段に陣をとり、i Podを取り出し自分だけの世界の短いブレークをとる。

「世界でどれほどの人が、夢を実現できるのだろう。
           世界でどれほどの人が、叶う夢を腕に抱けるのだろう。

世界中でいったいどれほどの人が、自分の心に正直に行動できるのだろう。
           ほとんどの人は、そんなことも経験しないで過ごすことになるのだろう....」

i Podから流れ出たのはマービン・ゲイの切々と唄いあげるボーカルだった。この曲 "If I Should Die Tonight" が発表されたのは1973年。それから11年後の1984年に、彼は実の父親から射殺され世を去っている。彼が45歳になる誕生日の前日のことだった。

この悲惨な事件からもう四半世紀も過ぎてしまった。眼前のブルーの世界と自動選曲(シャッフル)によるマービンの唄声ですっかり感傷的になってしまった。その時、いきなり7歳位の女の子が目の前に現れた。

音楽に塞がっていた耳には女の子の靴音はもちろんマービンの声以外何も聞こえず、その子の赤い靴が視界をよぎるまで気が付かなかった。

女の子につづいてひと家族がにぎやかに降りてくる。現実に引き戻されてしまった。じっと見ているその女の子に家族にも判らないほどかすかに手をあげ別れのサインを送った。サインを確認したその子は背中を見せるとまた家族の先頭を切るように海の方へ駆け降りて行った。


水族館入口は人の流れや混雑がようやく落ち着いたようだ。

一段と高い水族館前から眺める海面上には、まだまだ衰えを見せない太陽が中天に居座っていた。

入館するとそのフロアの先で、ひとかたまりの人の群れが水槽を取り囲み何やら熱中している。

近づいてみると浅い水槽内はヒトデばかりがまるで置物のように陳列されていた。

星形からほぼ円に近いものまで形は様々で、色は自然ならではの彩色で文章表現域を超え、写真撮影でも伝え切れない微妙な色合いだった。

このコーナーは触れあいの水槽 「タッチプール」 とあり、夜店の金魚すくいと同じような水槽である。いつまで見ていても生きて活動しているとはとても思えないほど沈黙している生物だ。

さっそく水の中に手を入れヒトデに接触。いやな感触ではなかった。触れてはじめて生きているように感じとれた。また上から見下ろすばかりではない違った姿も見れ、次から次へと接触。

気が付くと周りは子供だらけでバツの悪さを覚えたが、今さら気取っても完全に手遅れである。

海底回廊のアクアルーム

水族館は建築面積約10000平米もある4層構造の大きな建物である。

入口は3階より入館し下層へ見学しながら1階出口へと出る順路になっている。ちなみに4階部はレストランとイベントホールのみである。

前述の 「タッチプール」 の後、珊瑚の海・深海の海・黒潮の海と沖縄海域の特性をテーマ別に体感できるような展示がつづく。

そして大水槽上を歩けるようにしたり、深海で発色する生物をプラネタリウムのように観賞したりと工夫されている。

中でも黒潮の海は壮観な眺めであった。


この黒潮の海は高さ10m、幅35mという世界最大級のアクリル大水槽で、8m ものジンベエザメが悠長に泳ぐ。
ジンベエザメは他の水族館でも観ることができるが、複数のジンベエザメやマンタが泳ぐダイナミックな水槽はここだけである。

この水槽の底部に横たわるように透明の回廊が設けられている。アクアルームと名付けられたその回廊にしばらくいると、まるでダイバーになったような感覚に陥る。

館内が少々混雑していたということもあり、かなり早足で回ったが、いくつか印象に残る個性的な生物たちと出会うことができた。

その中でもひときわ心証の良かった魚をひとつご紹介しよう。名は”ねずみフグ”という魚で、表情がなんとも愛らしい”ハリセンボン”の仲間だ。

実はこの魚は那覇の公設市場内にある魚屋で見かけていた。可愛い表情なので憶えていたのだ。泳いでいるのは初めてだったが、生きている方が数倍おもしろい。興味心が強いのか人懐っこいのか水槽ガラスに近づくと寄ってくる。

”ジンベエザメ”よりこちらの”ねずみフグ”の方にたっぷり時間を使ってしまった「美ら海水族館」だった。

      すぐに寄って来てくれる愛嬌たっぷりの”ねずみフグ”


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