沖縄でのパイナップル生産発祥の地           〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 65〜

遅れていたバスが渡久地(とぐち)のバス停にようやく到着してくれた。乗り込むと最後部の席に着き、広い窓外視野を確保する。

バスはこれから八重岳の山間を縫いながら名護へと戻ってゆく。渡久地を出発したバスは山並みへとしだいに高度をあげ濃い緑の風景へともぐり込む。

八重岳入口というバス停が近づいてきた。琉球寒緋桜の名所で日本一早い桜まつり(1月下旬)を開催する名所で、ふもとから山頂にかけての4kmほどの間に7000本もの寒緋桜があるという。今は季節ではないのでパス。

伊豆味パイン園

バスの窓から年代物の建物が見え、壁中に目一杯の文字が躍っている。

「一九二三年 沖縄パインの発祥地」とあり、指がバスの降車ボタンを押していた。

ハワイから苗を輸入し沖縄でのパイン栽培が始まったとされる伊豆味パイン園だった。

古い建物の横に観光客用のショップがあり、そこがパイン園への出入り口になっていた。

小さなショップモールのような一角ではハブとマングースのプログラムまでやっていた。

ただし現在では動物を戦わせるショウは禁止されているのでそれに近いプログラムなのだろう。しかしこのショウにはまるで食指が動かず見送った。

パイン園へ通じる建物に入ると、中はエコ活動中なのかと思うほど薄暗い。パインに絡むジュースから菓子までの商品がところ狭しと陳列されている。そのまま通り抜け建物の裏にあるというパイン園へ出てみた。

山間の一画にある野原のような場所だった。

背の高い樹木が無いので見晴らしはよく、囲われたところにパイナップルがなっている。

以前アメリカにいた頃、知り合いのアメリカ人に聞いたことがある。

「なぜ英語では”PINE−APPLE/パイナップル”って云うの? PINE(松)は形が松ぼっくりに似ているので理解できるが、なぜAPPLE(りんご)なの?」

彼の答は5歳の幼児ほどの説明でしかなく、味がリンゴに似ているとか、リンゴがフルーツの代表的なものだからだと云う。

味など似ているわけがない。たたみかけるように質問をした。

「味も違うし、果肉の食感も違う。果実の繊維質から考えればむしろオレンジの方に近い。なぜ”PINE−ORANGE/パイノレンジ”じゃいけないの?」

返事に困り果てた彼の顔を想い出し、自然に顔がほころんでいたのだろう、横から気さくに声がかかった。「パイナップル、お好きなのですか?」

真黒に日焼けした顔に優しく笑う眼がこちらを見ていた。

最初はパイン園の人かと思っていたら、彼も訪問者のひとりで、どこかで果樹園の仕事をやっているようだった。

彼は今は咲いていないが、パイナップルも花をつけることを伝えたくて声をかけて下さったようだ。

幸いなことに筆者はハワイで観たことがあった。

松かさのような花序に、円筒形で先の方が青紫に染まった花をびっしりとつけていたことを鮮明に憶えている。

私がパイナップルの花を観ていたことを、彼は我が事のように喜んでくれた。


日頃あまり馴染みのないドラゴンフルーツやパッションフルーツのことを質問すると、何でも教えてくれた。

熱心に全身で答えてくれる彼はトロピカルフルーツのプロだった。

彼にお礼とお別れを告げ表に出ると、県道84号線を挟んだ向かい側に面白いものを発見した。

個人宅なのか公的建物なのか判然としない家の周りには神様の像が張り付いていた。家の守りはシーサーと相場の決まっている沖縄に布袋さま? 何とも奇妙な風景に立ち止まり、スナップショットまで撮ってしまった。

県道84号を名護方面へ向かって歩くことにした。むせ返るような緑の山道をしばらく歩きたかったので、バス停のタイムテーブルはあえて無視した。バスが来る時間を知ってしまうと、その時間に縛られてしまうからだ。

強烈な直射日光は射すが、高地のせいか空気はカラッとしている。県道沿いには一定間隔でショップが並ぶ。ちょうど車での観光客が止まりやすい間隔である。

パイナップルはもちろんビニール紐にぶら下げられたまだ青いバナナの大房、とんでもないほど巨木になるガジュマルの苗木、カブトやクワガタなどの虫とショップごとに特徴があった。

機嫌よく歩いていると頭上に名護市の境を示す標識が現れた。伊豆味パイン園から15分くらいしか経っていないのに本部と名護の境界まで来てしまった。

名護市に入ると右手に黄色い建物が見えてきた。「やんばる亜熱帯園」と大書された看板が上がっていたが、やはり入園するほどの気にならずそのまま通り過ぎる。

名護市に入ったことで益々調子が出てきた歩きを止めたのは大きな石燈籠だった。


県道から少し奥まったところにあった石屋さんの作品が偶然目に飛び込んできたのだ。3m以上もあろうかという石灯籠には龍が絡み獅子(シーサー)が伏臥する。

見事な造りの石灯籠がこともなげに敷地の隅に放り出されているから、ことさら目立ったのかもしれない。石灯籠の近くには、これまた何の気取りも無く ”ハナチョウジ” が滝のような花をつけていた。

こぼれ落ちるような花をつける ”ハナチョウジ ”(左) 精密な細工の石灯籠(右)


伊豆味パイン園
(いこいの駅 いずみ)
  2009年リニューアル

住所 国頭郡本部町伊豆味2821-2
電話 0980-47-3601
パイン園 9:00~18:00 無料
駐車場 30台無料
交通
 那覇空港より 160分(国道58号線を北上−名護バイパス(58号線)の白銀橋東の信号を左折し県道84号線に入り北上−中山交差点を直進−右手)

BUS 那覇BT 120分(名護西線20番)−名護BT 30分(70・76番系統備瀬線・瀬底線に乗り継ぎ)−第一ウジュン原下車スグ


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