名護の山麓道にて子ヤギと遊ぶ            〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 66〜

    このむせ返るような緑の光景は県道84号線沿いの中山あたり

周りの景色を見ながら歩いているとジャングルにいるような気分に陥る。県道が無ければ確実に方向感覚を失ってしまうだろう。

伊豆味パイン園から県道84号線を歩き、本部町から名護市に入ったばかりの中山地区だ。大自然の中を歩いているようだが、この通り沿いには一定の間隔でショップや観光用スポットがあったりして退屈することはない。

今もまた新たな看板が見えてきた。「OKINAWA ゴーヤーパーク」とあり、水耕栽培されているゴーヤーの菜園らしい。藤棚のようなところからぶら下がるゴーヤーを観ても、あまり感動するとも思えないのでパス。

沖縄そばの前を過ぎた時、山羊(ヤギ)の鳴き声が聞こえ慌てて立ち止まった。

声のした方を振り向くと子ヤギの可愛い瞳がこちらをじっと見ている。

遠目にそば屋があることは判っていたが道の反対側を見ながら歩いていたので視野に入っていなかったのだ。

そば屋の前にまるで番犬でもつなぐように無造作につながれていた。

あまりの人なつっこさにほだされ、しばらく子ヤギ相手に遊んでしまった。

沖縄ではヤギのことを ”ヒージャー” と云う。この沖縄とヤギの関わりは歴史も古く、また深い。沖縄の食文化を語るうえで欠かせないものである。この慣習は本土には無く、日本では沖縄だけのものと云ってよい。

しかしアジア圏ではほとんどの国が常食としており、一般的でないのは日本本土くらいのようだ。沖縄では古くより良質のタンパク源として重宝され、大きい豚は売却用、小さいヤギは家庭用として飼育されてきた歴史を持つ。

しかしディープな沖縄食文化に挑戦するほど食い意地は張っていないうえに、こうやって親しく子ヤギと遊んでしまった。今回の沖縄旅行では間違いなく、この食文化の冒険はパスすることになるだろう。

可愛いので頭などをなでたりしてしまうが、しばらく放っておくと逆にいたずらを仕掛けてくる。思わず店主と交渉して連れて帰りたくなってしまう。しかし連れて返る家がない身なのだ。

名残りは惜しかったが、すっかり親しくなった子ヤギに別れを告げ旅を再開した。

しばらく歩いていると「為又北」と書かれた交差点にぶつかった。北は読めるが為又を何と読むのか。

どんなに想像をたくましくしても ”びいまた” などと読めるわけもない。

漢字をあてないで ひらがなで表記してもらいたいものだ。

左手に「名桜大学」への案内があった。 《キャンパス風景もまた楽し》 である。 「びいまたきた」を左折し寄り道をすることにした。

名桜大学の野球場に着いた頃、空模様が急変してきた。沖縄に来て1ヶ月半だが雨に降られたのは2度だけである。まったく台風にも遭遇しないというラッキーの連続であった。

だが少ない雨だが降ったらすごい。英語でどしゃ降りを 《Cats & Dogs》 と表現したりするが、ここの雨はそんな小動物の可愛らしいものではない。ド迫力のシャワーだ。

一瞬の躊躇もなくUターンし、県道84号線に戻るべく道を急いだ。青空だった中天が今は雲で覆われ白黒映画の一シーンのように見える。片道は確か10分ほどであったはずだから急げば6,7分で県道へ戻れる。交差点には雨宿りの建物が何かあったはずだ。

走ればすぐに戻れるが雨が降らないと走らない、でも雨をシャワーのように浴びるのはいや、まったく我ながら勝手なものである。生来がなまけ者なのだろう。

                          一天にわかにかき曇り大雨が落ちそう

雨が落ちる前に県道84号へ戻ることができた。

しかし空は水を吸い込んだたゴム毬が破裂寸前といった様相だ。

交差点近くにあった「OKINAWA フルーツらんど」という施設に飛び込もうと決め、歩をゆるめスナップショットを1枚。

これがいけなかった。シャッターを押した瞬間にポタ! ボタ! バタ! ザバー!...最悪の直前シーンが右の写真である。

思いっきり走ったが目の前の「フルーツらんど」に飛び込むまでの10数秒で全身が泳いだあとのようにズブ濡れになってしまった。

しばらく亜熱帯のシャワーを眺めながら、子ヤギはどうしているかと考えていた。

困っているのか喜んでいるのか想像をめぐらせていたが、いっこうに雨は止む気配を見せない。

とてもヒマなので入園することにした。入園料は800円もした。


入口を通り抜けると長い歩廊の両側には熱帯植物が空間を占有するように溢れ出していた。トロピカルフルーツばかりが大集合している。

「フルーツらんど」内をゆっくり観て歩くと小一時間ほどかかる。入口の間口に比べ、内部は奥行きも深く結構な広さだった。

パパイヤの未成熟の実がすずなりに

ドラゴンフルーツ、レンブ、パッションフルーツ、グァバ、マンゴー、スターフルーツ、パラミツなどトロピカルフルーツの果樹園が前部を占め、その向こう側に鳥と蝶のエリアがある。

存在は知っていても食べたことのないものばかりが、たわわに実っている。気が向けばこの施設にあったフルーツパーラーで試食をしてもよい。

ところで沖縄ではパパイヤを二通りの食べ方をする。ひとつ目はお馴染みの熟したものをフルーツとして、もうひとつは未熟果の青いものを野菜のように食する。

まだまだ青いパパイヤを千切りにし油で炒めると、沖縄独特の一皿となる。

パパイヤはタンパク質を分解するパパイン酵素を多く含むため、肉などと合わせると柔らかになった肉と食感のよいパパイヤの乙な料理が出来上がるという。

熟したパパイヤにはこの酵素がまったく無くなるので未熟果のみできる料理である。

ところがマーケットに並ぶパパイヤは通常オレンジ色に熟したパパイヤばかり。そのせいか沖縄の個人宅の庭にはパパイヤの木が普通に植わっている。

果園を抜けると「バタフライゾーン」という場所に行きあたり、その入口の歩廊にはおびただしい数の蝶の標本が展示されていた。

蝴蝶園の中では生きた大きな蝶 ”オオゴマダラ” が室内中を舞っている。その頼りなげに飛ぶ蝶を観察しようと、隅に置かれた椅子に座ろうと近づくとすでに先客がいた。

 自由奔放に舞うオオゴマダラ(左) SF映画に登場しそうな黄金のサナギ(右)

何匹ものオオゴマダラが椅子にとまっている。羽を休める蝶を追い立てる気にならず、他を見学するため移動した。蝴蝶園の一隅にオオゴマダラの”さなぎ”が大事に保育されていた。黄金色に輝いていた。まるでSF映画のひとコマのようだった。

バタフライゾーンの右翼にはバードゾーンがあり、フクロウの ”アオバズク” やヤンバルクイナの親戚 ”シロハラクイナ” などけっこうな数の鳥類も飼育されている。

表に出るとすっかり雨は上がっており、ちょうど手頃な雨宿りとなった。バス停に向かいかかったが、雨上がり直後の空気がとても気持ちよく、一気に名護市街地を目指して歩き始めていた。


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