偶然ぶつかった浜辺、ウッパマビーチ         〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 74〜

マングローブ林をひと目見たくてやってきた東村の慶佐次(げさし)だったが、片道3時間半の旅とあってはマングローブ林だけでは帰れない。

ヒルギ群生のマングローブに堪能したあと国道331号を横切り、民家のある方へと散策をはじめてみた。民家の密集しているところは、ほんの一握りほどの地区でしかなかった。

そこを過ぎると急に視界が広がり、どこまでも一面に畑が広がっている。一瞬戻ろうかとも考えたが、さしあたって他に行くあてもなく、そのまま道なりに散歩をつづけることにした。

手づくりの果樹園 「やんばる翠苑」

畑の中を東へ歩いていると、一角に小さな植物菜園のような施設にでくわした。

入口に大きく「やんばる翠苑」と大書されており、花と熱帯果樹の楽園 入場料500円とあった。

先日、名護市の「沖縄フルーツらんど」という似たような施設を訪問したばかりだったが、かまわず入場。

苑内には他の入場者の姿もなく、静かに回遊できそうだ。

カニステル、レイシ、ドラゴンフルーツ、アセロラなどトロピカルフルーツが顔を揃えている。


苑内にはビオトープが造られていたり、山羊がいたり、小さな小さな池があったりと、顔がほころんでしまうような手づくりぶりなのだ。

果樹だけでなく相当な種類の花も目を楽しませてくれるので、花好きな人には飽きのこない小苑と云える。

苑内を見終わったあと、入口近くの休息所に入るとご主人が待っていてくれた。

テーブルにはパッションフルーツなどいくつかのトロピカルフルーツを一皿に盛ってあった。

ここで収穫されたトロピカルフルーツを来苑者の方に味わってもらうのがシステムだとご主人が説明してくれた。

パッションフルーツはスプーンですくいながら食べるなどのアドバイスを聞きながらいろいろ味見をしたが、いずれも美味で南国の味を素直に満喫できた。

これだけの果樹苑をご夫婦お二人で世話をしているとのことだった。その維持管理と育成には気の遠くなるような根気と計りきれないほどの愛情が要求される。並みの覚悟ではできないことを知った。


「やんばる翠苑」を出て東側の道路を歩いていると看板が目に入った。

看板には「慶佐次ふれあいウッパマ公園」とある。しかし道路わきに細長い緑地があるだけ。

緑地の端にはアダンの樹木が視界をさえぎっており、熟したアダンの実があちこちに落ちていた。

そのうちのひとつに取り付いて食事をしていたヤドカリ。海岸近くで陸上棲息する”オカヤドカリ”だ。

ヤシガニが好物にしているアダンの実だが、雑食のオカヤドカリも食べるようだ。

このアダンは日本では沖縄と鹿児島のほぼ中間に位置する奄美大島以南でしか自生しない。

一見パインのように見える果実だが、まったく別種の植物なので現在では一般常食していない。

沖縄ではアダンの葉を使用したパナマ帽とか強靭な繊維質を有する幹は健在にと、ひところアダン産業として隆盛だった。

またアダンは毛筆としても利用されていた。江戸時代の昔、動物の毛を使用した筆がとても高価なのでアダンの気根(地上に露出している支柱根)を利用したアダン筆が代用されたという。雨月物語で知られる作家、上田秋成も琉球から渡来したこのアダン筆を愛用したという記録が残る。

一般の毛筆が安価になり普及するとともに市井から消えていったアダン筆だったが、最近になり嘉手納町に本拠を置く”琉球大発見”という工房が復活させ、その筆の味わいが見直されてきている。

アダンのすき間から砂地が見えてきたので樹幹をくぐり抜けると、いきなり広々とした海岸に出た。誰もいない波音も届かないほど静かな海だった。予想だにしていなかったためか、突然の海との出会いに大きく胸を揺さぶられた。

適当な岩を見つけ腰をおろした。島ひとつない見渡すかぎりの太平洋の海原だった。左手に見える陸影は本島最北部のやんばる地域だろう。右手は大きくえぐれているため陸影は見えない。

よく考えればアダンの木がかたまって自生しているのだから、海岸が近いことを予告してくれていたのだろう。アダンが風防樹としても優れていることを失念していた。

おりよく散歩で浜辺に立ち寄った地元の人と話すことができ、いくつかの知識をいただく。浜辺の名前は「ウッパマビーチ」といった。ウッパマとは大きな浜を意味することも知った。沖縄方言にもうすこし明るければ、最初に見た案内看板の「ウッパマ公園」で海岸を連想できたはずだ。

しかし何であれ「ウッパマビーチ」に迷い込むことができたことを感謝しよう。凪が終わり風が吹き始めてきた。風の感触だけでなく音まで心地よかった。

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