浜比嘉島の小粋なホテルにて              〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 80〜

浜漁港には行楽地にあるようなプレジャーボートのたぐいの姿は無く、係留されているのは漁船ばかりであった。半農半漁の島、「浜比嘉(はまひが)島」 らしく質実な表情の港である。

この島は「浜」と「比嘉」というふたつの村落で構成されているので「浜比嘉島」と称している。両地区とも漁港を有しているので、今度は比嘉地区の漁港を散策すべく東へ向かってみた。

静かな時間が流れる比嘉漁港

比嘉漁港も魚網が干されているありふれた漁港だったが、確かな生活臭が実感できる港でもあった。

地元では釣りのスポットだらけの島としてかなり有名らしいが、今のところ釣り人は見当たらなかった。

東への道の終わりには分かれ道が待っていた。

直進「ムルク浜」、右折「ホテル浜比嘉島リゾート」と記されている。

筆者の性向からして99% 「ムルク浜」へ向かうところなのだが、足は右の坂道へと動きだしてしまっていた。


坂道を登りながらも、我ながら頭の中には?マークが点るほど不可解な行動だった。記述している今にして思えば、単純に高所から島を見たいと潜在的に念じ行動したのだろう。

坂道を登るうちに建物が見えてきた。低層のテラスハウスのようなホテルだった。登りきってホテルの正面に立ち、しばらく呼吸を整えながら眺めていた。 まことに目立たない3層からなる普通の顔をしたホテルだった。

しかし、「それ以上でもなく、それ以下でもない」と主張する風情にとても好感が持てた。すぐに入館した。入口のアプローチもロビーも小さなつくりでさっぱりとしていた。同じフロアに設けられている喫茶ラウンジも小ざっぱりとしたディスプレイだ。

室内の照明をダウン気味にし、外光の加減でほどの良い明るさをつくっている。不思議なくらい温かく居心地が良い。

窓側の席をひとりで占有しアイスティーをオーダーしてみた。待つほどもなくチリチリに冷えたグラスがやってきた。

最初のひとくちが乾いた喉に快く、空間も時間も瞬間で豊かなものに変えてくれた。

席に荷物を置き少し館内を巡ってみた。展望台風呂まであるようだった。全体的にどこのセクション域も静かで落ち着いている。

従業員スタッフにもいくつかの質問をしたが、その応対は丁寧で、しかも必要以上の愛想を押しつけてはこない。

建物を見た時の印象通り、それ以上でもなく、それ以下でもないという絶妙な距離感を保っているように感じた。


ラウンジで涼をとったあとプールサイドに出ると、青い水を湛えた半月型のプールの向こう側にはさらに濃い青の世界が広がっていた。

見渡すかぎりの水平線が空に溶けてしまっていた。プールのそばに立っているだけで頭の中まで青色に染められてゆく。自然を多く残すこの島で、ひとときでも豊かでアーバンな空間が持てたことを素直に感謝した。

プールそばから 「ムルク浜ビーチ」 へと降りる階段があった。直感的な行動でホテルに来てしまったが結果的には大正解だったようだ。

このホテルから「ムルク浜ビーチ」を経由して「浜比嘉大橋」へ向かえばちょうどひと巡りできることになる。前面に展開する大海原を眺めながら、さっそく急勾配のその階段を降りる。

白砂のビーチに小型のきのこ岩がいくつも顔をのぞかせる変化に富んだ浜辺だった。沖合に見えるふたつの島はいずれも無人島で、左が 「浮原島」、右が 「南浮原島」であると教えられた。この浜から 「南浮原島」へと渡るツアー船があるという。

このビーチには訪問者の要望に対応できるようマリンハウスが設営されており、ほとんどの希望を満たしてくれる。マリンハウスでかき氷を食べたかったのだが、まだ「平安座島」を歩いていないので小休止はパスし、ちょっとだけピッチを上げる。

歩いて渡る浜比嘉大橋は最高だった。平安座島までの全長1430 mを飽きることなく歩き通すことができた。緑と青が混じり合う水面を滑りながら吹きあがってくる海風。反射する陽光が砕けたり、踊ったりしていた。

平安座島漁港

「浜比嘉大橋」は平成9年(1997)に完成したばかりの綺麗な橋。これでこの周辺で橋の架かっていない離島は、無人島を除いて津堅(つけん)島ひとつになっている。

平安座島に着くと橋のたもとには緑地公園があり、その向こうには漁港が見える。

港には魚網が干され、漁師は漁具の手入れに没頭している。見るからに自然体の漁港だった。

民家のある住宅地はこの漁港近くまでで、あとは巨大な石油タンクが島全体に広がっている。

この広大な石油基地を平安座島に造るにあたって、米国ガルフ社は見返りとして4.7k もの長大な「海中道路」を造設したという。

         平安座島の端までつづく石油タンク


林立する石油タンクの森を歩いていたら、隣りの島「宮城島」まで来てしまった。

ふたつの島をつなぐ橋は「桃原(とうばる)橋」という名だった。

島と島の海峡を結ぶ橋なので大きな長い橋をイメージするが、実際は町中に見られる程度の橋だ。

石油基地造成のため埋め立て整地をしたためか、島間の海峡は川幅くらいしかない。

橋のたもとに駐車した車があり、”おにぎり”の幟が風にはためいていた。


本日の予定していたコースはすべて歩くことができた。海中道路からの離島めぐりも終了に近づいてきたようだ。

軽食キャラバンのメニューに かき氷があったので一服することにした。キャラバンの主は大阪から移住してきた女性であった。関西弁はまったく影をひそめ、生気あふれる表情はすっかり島人になっている。

かき氷をかき込みながら眺める川のような海峡は、深い緑を湛えて湖のように静まりかえっていた。

   「桃原橋」から見る平安座島・宮城島間の海峡


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