バス終着の地にあるオクマビーチ            〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 87〜

やんばる ロード 2

飾り気のない田嘉里(たかざと)の浜

国道58号線を北上中、田嘉里というバス停留所近くの海が気に入り、少しだけ停車することにした。

砂地一面にはハマヒルガオのつるが張っていた。どこか懐かしい風景の浜辺だった。

この田嘉里は大宜味村(おおぎみそん)と国頭村(くにがみそん)にまたがった町らしい。

いよいよ本島北端の地、「国頭村」である。


沖縄での村は東京で云う区や市に相当するのだが、国頭村区域はかなり個性的と云える。まず全体の25%を米軍に占有され、そして残り面積の95%が森林に覆われているのだ。

標高500mを超える本島最高峰の与那覇岳を筆頭に西銘岳・伊湯岳などが脊柱をつくるように連なり、そこを分水嶺として多くの河川が東シナ海、太平洋の両海へ注ぎこんでいる。

世界の動植物学者が注目する生物が、この地に生息するのもうなずけるというものである。

国頭村に入るとすぐ目に飛び込んでくるのが生物保護の大看板。その後も種々の注意標識が掲げられていた。この幹線道路の58号線で轢死する生物、つまりロードキルが跡を絶たないからだ。

しかしカニに注意しろと云われても、どう走ればよいのか途方に暮れてしまう。以前テレビでカニ専用の道路を掘っているユニークなニュースが報道されていた。

”オカガニ”という防風林の根元に巣をつくる大きなカニは夏の産卵期に海へ向かうという。そのため多くのカニが道路を横断しなくてはならずロードキルに遭うらしい。そこでカニ専用道路の設置をするというわけである。

しかしその後完成したかどうかは未確認なので、やはり注意をしなければいけない。カニと云えば海側を注視してしまうが、この場合は山側から出現するのだろう。そんなことを考えているうちに奥間まで来てしまった。あの「オクマビーチ」のある地である。そのビーチから北東2kmのところが沖縄本島主要バスの北の終点、辺土名(へんとな)バスターミナルがある。

                 洒落たコテージのあるホテル敷地内を通り抜ける道路

奥間の交差点、右に行けば比地大滝、左に曲がればオクマビーチ。

左折するとすぐにホテルの敷地内へと道路がつづいていた。

ホテルは「オクマビーチ」をプライベートビーチとしている「JALプライベートリゾートオクマ」である。

このホテルはコテージが集落のように設営されメインビルのような高い建物はいっさい見当たらない。

そのためフロントのあるメインオフィスが見つけにくく通り抜けてしまった。

車中で地図を再チェックすると、この道の先に赤丸岬なるポイントがある。間違ったのを幸いにオクマビーチの前にそこを訪れるべく車を先へと走らせた。

しばらく走るとこの一本道が米軍施設のようなゲートへと伸びていた。筆者の地図には米軍基地など記載はなく、ただ「赤丸岬」とだけあった。

戻るにしても Uターンしなければならないわけで、道路上で出来なくはないが どうせするなら広い方がよい。かまわず進入した。

ゲートをくぐると いきなり大声で止められた。駆け寄ってきたセキュリティガードの説明でそこが米海軍の保養施設であることが判明した。保養地なら赤丸岬の見学と撮影を許可してほしいと申告。

最初こそポカンとした顔をしていたこのアメリカ人、すぐに猛烈な勢いでNGを出し レギュレーションの説明が始まってしまった。まったく愛想の無い軍人だ。世界一愛想が無いと定評のある中国人女性となんら大差がないのである。

このまま規則話を聞いても時間の無駄なので 『退散する』 と伝えるとトタンに笑顔になった。やれば出来るではないか! 彼の話で役にたったのは「赤丸岬」が《アカマル》と発音するという確認くらいのものだった。

建物に囲まれた池に咲く1輪の熱帯睡蓮

ホテルのメインオフィスに入るとごく普通のフロントがあり、物静かで落ち着いた空気があたりを支配していた。

低層建築物をつなぐ回廊が植物園のように緑と花で覆われている。

フロント近くのラウンジ、”ファウンテン”で小休止を取ることにして窓側の席に着く。このラウンジは夕刻から BAR に変貌するようだ。

大理石の敷かれたフロアとたっぷり距離を取った席間隔、窓外には内庭のような造りの池に熱帯睡蓮が1輪だけ薄青の花を咲かせていた。

米軍より返還されたこの地にホテルが開業されたのは1978年だという。その後何度も保全・拡張の改修を施したようだ。

琉球紅茶を飲んだあと、さっそくホテル敷地を見学しながらビーチへと向かう。


                           カジュアルなパームコテージ

海浜リゾートと云えばお約束のように高層建築からのオーシャンビューが重要視されてきた。

しかし近年ではヴィラ、コテージ、ログキャビンなど低層建築の宿舎も見直されてきており、ヴィラタイプなどは丸ごと一棟を専用するリッチさを味わえるので、高層のペントハウス(最上階)よりもトッププライスである。

こちらのゲストルームもすべて低層タイプで設計されており、ヴィラスタイルからカジュアルなコテージまで4ゾーンに分けられていた。

それぞれのコテージ群が植物庭園の中に散りばめられたようで、周りには空を遮る高いものもなく自然の只中にいる感覚をもたらしてくれる。

ただしパームコテージと呼ばれるカジュアルなコテージ群は水色と白で明るく彩色された低層アパートメントで外観から観るかぎりリッチ感は無い。周りに配した水辺だけが救いになっているように思う。

屋外プールを眺めながら海岸へ出ると広々とした浜辺が1キロ近くも展開していた。砂浜は人工ビーチのように岩礁ひとつなく真っ白である。しかしここは自然が創った正真の天然ビーチであった。

遠浅で奥行きのある浜辺が、やはり広く高い青空にとても似合っている。ビーチに設備されているものもコンパクトなマリンハウスと海に突き出した白い桟橋のみと、いたってシンプルで好印象のビーチであった。

マリンハウスをのぞくと壁に案内があり、マリンアクティビティー、親水プログラム、自然体験ツアーなど潤沢なメニュー(ガイドページ参照)がびっしりと並んでいた。また一般ビジターにも開放されているので、車さえあれば北部やんばる地の唯一のリゾートビーチを存分に楽しめるのだ。

駐車場には来た時と違うコースを通りながら戻ったが、とにかくホテル敷地内はどこを歩いても したたるほどの緑に溢れて自然を身近に感じられる。非日常体験やプレジャーも大いに魅力的ではあるが、もしかすると本当の贅沢というのは何もせずに居られる場所に身を置くことかもしれない。

               太陽と緑がいっぱいのホテル敷地内


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