茅打バンタと呼ばれる断崖の難所            〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 88〜

やんばる ロード 3

JALプライベートリゾートオクマを離れ、国道58号線に戻り車を一路北へと向ける。10分くらいで58号線はふたたび海岸線に出た。与那と呼ばれる地区だった。

砂浜がほとんど無く、石積みの護岸になっている。しかし海はどこまでも穏やかで車を停めて眺めたくなるほど青く澄んでいる。

                       謝敷の海岸線

しばらく走ると、ありったけのテトラポッドを浜辺にぶちまけたような海岸線が見えてきた。

バス停の少し先に車を停め、停留所を確認すると謝敷(じゃしき)と書かれている。

地図でチェックすると名護市からちょうど北へ20キロ地点の海岸であった。

ビーチに出てみた。磯近くでは緑がかった海の色も20m先の沖合では泡立つ波間を境に真っ青な色へと変貌している。

波下にはサンゴの環礁ができているのだろう。

車に戻りドライブを再開していると、無意識に片手運転をしていることに気付いた。

米国では左運転席なので右利きの筆者には、左手をウインドーに乗せての片手運転が楽で、すっかりその当時の悪いクセが身についてしまっていた。

レンタカーは国産車で右の運転席だったが身体は自然に対応していた。もっとも左手一本でも楽に運転できるコースだったからかもしれない。

今日の目的地である辺戸岬の前に行きたいところがあった。観光スポットとしても知られる「茅打バンタ(かやうちばんた)」である。あたかもアミューズメントのような響きだが、実は本島でも有名な難所のことなのだ。バンタとは琉球の方言で崖を意味する。

昔から最北の地へ出るためには必ず通らなければならなかった絶壁をつたう細い断崖道。地元では「戻る道」と呼ばれ、人がすれ違えないほど道幅が無く一方が戻らねばならないほど狭隘険路であったという。

宜名真トンネル

茅の束もバラバラにする強風が断崖道を吹き上げることから「茅打バンタ」と名付けられたこの難所も、今では山塊をぶち抜く「宜名真(ぎなま)トンネル」が開通しているので山越えする人はほとんどいない。

その難所へ上がる入口を探して走っていたが、いきなり「宜名真トンネル」が目の前に現れてしまった。

「茅打バンタ」への入路を見逃したのだ。県下一長い1キロのトンネルをくぐったが、出たところからすぐにUターンをする。

バンタ探しのため58号線を戻ったのだが、右手に宜名真の漁港と防波堤が見えたのでまたまた寄り道となった。

    宜名真漁港の防波堤内

少し回り込むが防波堤にも出られる。防波堤では2組の釣り人が釣果はまだ無かったが楽しんでいた。ここは釣り客にも有名なポイントであることを教えてもらった。

防波堤で寝ころび入道雲をな眺めていたが、コンクリートから伝わってくる地熱が動悸のように背中を打ってくる。しだいにドライフルーツのような気分になってきて車の冷房が恋しくなってきた。

大急ぎで車に戻り、運転再開と同時に冷房も全開にした。好きなときに冷房に逃げ込み、好きなときに移動できる車の便利さを、つくづく再認識させられてしまう。人間も堕落したものである。

やっと見つけた「茅打バンタ」への枝道。最初こそ なだらかだった坂道がしだいに斜度を増してゆく。馬車や車が通れるほど道幅が広がったのは大正期のことらしい。かなり登ったところの崖上にその名高い難所、「茅打バンタ」はあった。

断崖の端には事故防止の柵が設けられているが、ところどころ柵の無いところから下をのぞくと、噴き上がる強い風と峻嶮な景観に思わず引き込まれてしまう。今までいた防波堤が箱庭のような世界の中に小さく収まっていた。

茅打バンタの崖上から臨む宜名真漁港

今ではこの崖上も園地として整備され東屋の休憩所やトイレなどが設けられ、観光客が訪問しやすい環境になっている。東屋から見る空も一気に近づいたのか雲もひときわ大きく見える。

この園地には遊歩道もあるので真南の宜名真漁港から北西の伊平屋島までの180度のパノラマ景観を十二分に満喫できる。

水平線が極端に丸く見えてしまうのも、屹然とそびえる断崖からの景色だからなのだろう。中天に浮かぶ白雲から足元に広がる東シナ海まで大自然が手の届くところにあった。


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