最北の辺戸岬に立つ  〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 89〜

やんばる ロード 4

                           童話に出てくるような可愛い辺戸岬灯台

ようやく見つけた。

細い道の先には真っ白でジオラマで見るような灯台が静かにたたずんでいた。

本島最北の半島のような海岸線西岸にある辺戸岬(へどみさき)灯台である。

かねてより那覇で知り合った知人から聞いていた灯台だ。地図にも載っていない上、現地でも何の案内板も無いと聞いていた。その通りだった。

ここに灯台があると知らなかったら、確実に見逃していただろう。

1972年5月15日、業務開始とあった。高さ11mの小さな灯台で、周りを1m半くらいの塀が取り囲んでいた。

最近塗りなおされたのか目にも鮮やかな白さである。まるでジュブナイルに登場しそうな灯台だった。

停めてある車までの戻り道が遠かった。道が細く雑草におおわれていたので、ずいぶん手前に駐車してしまったようだ。

この次のポイントはいよいよ辺戸岬である。西岸側にあった辺戸岬灯台から辺戸岬への入口となる東岸へと車を飛ばした。走ること数分で辺戸岬の看板が飛び込んできた。案内の方向へと曲がると大きな駐車場へと進入して行った。

お休み処を備えた高速道路にあるPAのような風景だった。車を駐車し、さっそく岬突端へと歩を進めた。とても広い岬でプロムナードが縦横に走っており、遊歩道沿いには多くの記念碑やオブジェが設置されていた。

辺戸岬の崖上から

石碑などの見学は後回しにして岬台地の北端まで歩きつづけた。そしてたどり着いた崖の端から見た海は青くて丸かった。薄くけぶった水平線は明らかに丸く、地球が球体であることを肉眼で見せてくれているようだった。

沖縄本島北端の岬に立っていることも手伝い、日本本土へとつづく大海原を見入っているうちに少しだけ感傷に浸ることができた。

人には《果て》という未知と隣りあわせている限界点に挑戦する本能があるらしい。エベレスト登頂、北極・南極制覇、宇宙航行、深海探査など、その本能の要求するところに従ってきた。

その未知のポイントを制覇してもおそらく何も特別なものは無いのだろう。精神的充足と記録が残る以外は。しかしこの飽くことのない本能だけは消失することはないだろう。

沖縄本島の最北端など可愛らしいものだが、最北とか最南ポイントとか聞くと無性に行きたくなってしまう行動をとるのも、そんなところに原因があるのかもしれない。

1976年4月に造られた「祖国復帰闘争碑」

プロムナードを歩いていて、檄文とも云うべき激しい論調の碑文に出会った。

祖国復帰闘争碑とあった。

『吹き渡る風の音に耳を傾けよ
権力に抗し復帰をなし遂げた
       大衆の乾杯の声だ』

で始まる文は、しだいに熱を帯び

『戦後は屈辱的な米国支配の鉄鎖につながれ その傲慢な支配は沖縄県民の自由と人権を蹂躙した...祖国日本は海の彼方に遠く 沖縄県民の声は空しく消えた』 とつづく。


日本への復帰を願いながらこの辺戸岬から灯を焚き、与論島(奄美群島)の人たちと呼応したという。双方から船に乗り海上で集合し祖国復帰を目指したと伝わっている。

与論島はひと足早く1953年に日本復帰がかなったが、沖縄の復帰はそれから19年もかかり1972年に実現する。

碑文はさらに激しさを加えてつづく。

『1972年5月15日 沖縄の祖国復帰が実現した
しかし県民の平和の願いは叶えられず 日米国家権力の恣意のまま軍事強化された』

『この碑は喜びを表明するためではなく まして勝利を記念するためにあるのでもない
生きとし生けるものが自然の摂理のもとに生きるための警鐘を鳴らさんとしてある』

この碑文が色あせることもなく、戦後65年も経った今も胸に刺さるのは、普天間問題で判るように沖縄の戦争がいまだ終わっていないからだろう。

祖国を慕う気持ちがまだ健在だった頃、この辺戸岬から22キロも離れた与論島の人たちと海上で落ち合う風景はどんなであったろう。映画のワンシーンのように純粋で美しかったに違いない。

                          展望台の大ヤンバルクイナの足元

岬からの絶景を存分に堪能したあと、パーキングロットへと戻ったのだが、その途中に面白いものを発見した。

遠景ながら山の中腹に巨大なヤンバルクイナが見えたのである。

岬の近くにあると聞いていた「ヤンバルクイナ展望台」だと判ったが、まさか岬から見えるとは思っていなかった。

駐車場に着いたが、レストハウスに貼られていたかき氷の字につられて水分補給をすることにした。

急いでかきこんだせいで頭の奥に激震が走り、頭をかかえながら勘定を済ませることになってしまった。

岬から展望台までやはり5、6分で着いてしまった。車もたまには爽快なものである。長い階段を登ると11.5 m のヤンバルクイナが立っていた。訪問者は誰もいない。

コンクリート造りの巨大ヤンバルクイナで胸のところが展望窓になっている。胴体内部は3層構造になっており、胴体側部に併設された階段で移動できる。

さっそく内部に入って最上部へと進入した。中はガランとして置き忘れられたように警備員の敬礼している絵看板が床に転がっている。その看板を拾い展望室のベンチに寝かせ、窓外に目をやると青を背景にした辺戸岬の全景が前方に浮かびあがっていた。

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ヤンバルクイナ展望台

住所 国頭郡国頭村辺戸
施設
 駐車場無料(10台)・休憩所
問合せ
 0980-41-2101 国頭村役場)
交通


那覇空港より175分 那覇IC−許田IC 間は高速利用−国道58号線を北上−辺戸岬手前を右折スグ


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