大自然がつくりあげた造形の中で           〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 90〜

やんばる ロード 5

金剛石林山への入口に近づくと、かたわらに立っていたスタッフが屋外駐車場へと誘導してくれた。券売所で料金を払うと待機中のシャトルバスに乗るように案内される。

遊歩するためのベースキャンプとなる ”精気小屋” へと入場者を運んでくれるのだ。遊歩コースは全部で4つ設けられている。《奇岩巨石コース》、《絶景コース》、《森林コース》と《バリアフリーコース》の4コース。(詳しくはガイドページを参照)

                             奇石巨岩コースでのワンカット

動き出したシャトルバスは山道へと進入して行くが、大揺れに揺れる道でまるでシェーカーで振られる氷になったような気分だった。

なるほど一般車輛をパークさせ、シャトルバスで移動する必要がうなずける。

簡素なつくりの精気小屋に着くと迷わず《奇石巨岩コース》へと出発した。熱帯カルストが織りなす石灰岩の奇観が延々と展開する。

石を貫くほど生命力のあるガジュマルと奇石のコラボレーションは自然が創る美術品でもある。

緑と巨岩の白が混ざり合う風景に目を奪われるが、道程の斜度がけっこう厳しく、足元からも目を離せない。

大汗をかきながらコース終盤にある奇観の ”悟空岩” までたどり着くと、石灰カルストの石山が青空を背景にそびえていた。

悟空とは天竺(インド)まで旅をした三蔵法師の従者の名だが、その旅程に見るような景観を想いえがき名付けたのだろうか。

奇石巨岩コースの終わりはバリアフリーコースにぶつかっており、板敷きのなだらかなボードウォークが山裾を走っていた。

荒くなった呼吸を整えながらボードウォークを回遊。途中池を見下ろす場所があったがすこぶる景勝だった。池の名は ”鍋池” と云った。

カルスト地形の中で静かに水を湛える鍋池

池脇にあった東屋のような休憩所でしばらく眺めることにした。

小さな小さな池なのだが色は北海道の湖のように鮮やかな緑色で、白い奇岩に埋められた宝石のようだった。

ボードウォーク歩きを再開するとすぐに ”烏帽子(えぼし)岩” を発見した。

鋭利な刃物が空に向かって突き立っている...烏帽子よりそんな感じの岩が連なっていた。

そのあたりは《絶景コース》の出口にもなっていたので、そのまま逆行して大パノラマ展望台を目指し、もうひと汗流すことにした。

山肌を縫いながら細道が高みへとつづく。肩で息をするようになった頃にようやく大パノラマ展望台に到着した。

そして、そこから見下ろす眺望は息をのむほど素晴らしかった。


辺戸岬灯台や辺戸岬の絶壁を見渡せたヤンバルクイナ展望台すら、ここから見れば、まるでジオラマの小世界だった。ストレートに感じさせてくれた...今まで大汗をかきながら歩いた場所が何と小さなところかと。

まだ大学を卒業したての新入社員の頃、必死にしがみついていた言葉がある。 『 壁にぶつかったり、何かに悩んだり堂々めぐりを感じたら、2階に登って自分の居たところを眺めろ 』 すっかり忘れていたそんな言葉を思い出していた。

    かすかに丸くなった青く けぶる水平線や地表の緑に落ちた入道雲の影

ヤンバルの自然と空気を身体のすみずみまで取り込みながら、山を降りた。下りの道程は軽やかでアッという間に精気小屋に戻ることができた。

不足した水分をかき氷で補給しながらテラスへ出ると、犬の出迎えを受けてしまった。どことなく淋しげな表情をした犬だった。こちらから友好の情を表したのだが、反応も表情に似て極めてひかえめだった。

しかし筆者の移動するところにはそれとなく付いてきてくれる。ひかえめに距離をとって横たわるのだ。しかも視界に必ず入る場所にである。そしてじっと見つめられているのがわかる。

見つめ合うのも変なので、帰りを一気に走ろうとしている北部東海岸線のMAPをチェックしながらよそ見などをする。そのうち自然な空気感になるから不思議なものである。

しばらくそんな時間を愉しんでいたが、表の方で係員がシャトルバスの出発を知らせ始めた。ひと便遅らせようかとも考えたが、これ以上いれば必ず後ろ髪をひかれることになる。駆け込みながらシャトルバス最後の乗客となった。


「金剛石林山」のガイドページへ


ちょっと贅沢な国内旅行 style(スタイル)

HOME




ガイドページ


旅BLOGの記事一覧

東京おもしろ図鑑のサイトへ