大自然の海を満喫させてくれた「久高島」       〜沖縄ちょぼ旅 BLOG 98〜

海岸沿いのロマンスロードは本島南部の知念半島を一望に収めるなど眺望の素晴らしい道だった。

全身で風を切りながら風景を楽しむサイクリングロードとして最適なコースといえる。

ロマンスロードに入って300mも走ったろうか、道の端に東屋が見えてきた。海を望む小さな休憩所だった。

島を訪問して初めて遭遇する観光者用施設だ。そこから海岸線を眺めると面白いものを発見。

東屋から少し北へ戻ったところに、海岸へと降りるハシゴが2連設置されているのが見える。

舗装された道路とこの東屋以外 人工的なものは何ひとつ見当たらない。立てかけたハシゴだけが乗降手段という、つまり自然をまるごと残した海岸なのである。

今朝からこの久高島を時計まわりに廻っているのだが、東からこの西側の海岸域まで、基本的に観光用施設は設けられていないのである。

船で渡る離島はこれが初体験なので、他の離島と比較のしようもないが、予想をはるかに超える自然度の高さには驚くばかりだ。おそらく沖縄の原風景を色濃く残しているのだろう。

戦前までまったくの自給自足の島であったと聞いている。島の周辺には珊瑚の岩礁がぐるりと取り巻き、外海から護られたイノーと呼ばれる礁池を形づくっている。

干潮ともなるとかなり広いイノーを沖の方まで歩けるようになる。女性たちは海の畑とも呼ばれるそのイノーで海からの恵みを得て生活の糧にしていたという。

ロマンスロード下のウディ浜は透明度抜群の海

ひとつ目のハシゴを降りた。ハシゴなので海に対して後ろ向きに降りるわけだが、振り返って見た海の美しさは写真や ましてや言葉などではとうてい表現できないほどだった。「ウディ浜」と名付けられている小さな浜。

砂浜に降り立つと穏やかに寄せる波が磯を洗っている。裸足になった足をなでてゆく海水がこのうえなく心地よかった。白い砂浜は猫のひたいほどしかなく、小高い岩礁が後ろに立ち塞がっている。

今は引き潮なので満潮時にはこの砂浜は海に沈んでしまうに違いない。浅い底の白い砂地から はね返った陽光が水の中で踊り、ため息がもれ出るほど透明な青色を見せてくれている。

                      満潮時には海の中に没するウディ浜

しばし大自然の海を全身に感じながら岩陰で過ごした。止まったように感じられた時間だったが現実にはとても速く過ぎていた。

ふたたびハシゴを登り東屋で水を補給。もちろんこのペットボトルは買い置きのもので、久高島サイクリングツアーには必需品である。

前述のとおり自然のままが信条の久高島。自販機などはお目にかかれないのだ。

レンタサイクルなどの店か集落近くのお店で準備することをお奨めする。

ロマンスロードの終わるあたりにまたひとつの海岸に出会えた。先の「ウディ浜」よりはるかに大きく湾状の浜辺が広がっている。「ウグヮン浜と」呼ばれるこの浜辺は、おそらく西海岸で一番大きな海岸になるのだろう。

自転車を置き、「ウグヮン浜」を見下ろす岩礁づたいに散策していると思いがけなく釣り人に遭遇をした。岩肌にどっしりと腰を据え、のんびりと釣り糸の先を見つめているのは島の住人のようであった。

湾曲した浜辺に深い青を湛えた「ウグヮン浜」

この磯での釣果を聞きたくて、餌のつけかえの機会を待ち声をかけた。

しかし何ひとつ返事を聞くことはできなかった。

最初は聞こえていないのではと思い何度も話しかけたのだが、残念ながら どうやら黙殺されていただけのようであった。

声かけには十二分の配慮をしたつもりなので失礼は無かったと思う。


人間であるかぎり虫のいどころの悪いときもある。きっとその釣り人さんにとって、気分を害する何かがあったに違いない...などと自分にいい聞かせながら、のどかな空気が一変してしまったその場所をあとにした。

自転車旅を再開したがすぐそばに「フボー御嶽(うたき)」と書かれた案内板が立てられていた。ここが久高島でもっとも神聖な場所であることはすでに予習していた。

ここが琉球開闢神”アマミキヨ”の七御嶽の第一の聖地にあたり、12年毎に挙行される大祭祀”イザイホー”の舞台となる聖域である。

立入禁止の看板が置かれた沖縄屈指の聖域をそっと眺めたあと、自転車のハンドルを南西の集落方面へと向けた。

琉球開闢伝説は神話として捉えるとしても、時の琉球王が毎年2月にはここを訪れ重要な神事を行なってきたと伝わる。

長きにわたり王府から尊重されてきたという歴史事実も合わせ持つ”神の島 久高島”。

神話から有史へと連綿とつながる年輪の重さは確かなものなのだろう。

昔より琉球では祖霊崇拝と同様に太陽神を遥拝してきた。東より昇るティダ(太陽)を 《生》 の象徴としてとらえ祈願する。逆に西に落ち入る太陽を 《死》 ととらえ、決して手を合わせることをしないという。

そのことから沖縄では東を ”アガリ”、西を ”イリ” と読む。ちなみに雑学までにご案内すると、北を ”ニシ” と呼び、南を”フェー” もしくは ”ハエ” と発音する。

沖縄本島の首里城から朝日を臨むと、ちょうど久高島のこのフボー御嶽から昇ると云われている。たしかに朝日はみなぎってゆく精気にあふれ、夕陽からは穏やかではあるがそこはかとない物悲しさが感じとれる。

ひっそりと静まりかえった集落のはずれ

なるほどそう考えると、太陽の一日の軌跡はまるで人間の一生を示しているようにもとれる。

毎日中天に輝きながら太陽は我々に知らせてくれているのかも知れない。生を思いきり謳歌するようにと。

毎日の生活や忙しい仕事に追われていては、そんな悠揚な思いに届くはずもないのだが。

自転車をこぐ前方に集落を知らせるように石垣が見えてきた。

人の気配がまるで感じられないほど静まりかえっていた。民家の中を通りぬけレンタサイクルの店まで戻ったのだが、何とただのひとりの住民とも出会わなかった。外塀に打ちかけられた漁猟網など かすかな生活の臭いは感じたが、とにもかくにも清閑とした静けさがあたりを支配していた。

徳仁港からエンジン音を響かせフェリーが動き出す。水面に逆波を残しながら走り始めたフェリーの船尾にぼんやりとたたずんでいた。遠ざかる島はどこか凛として侵しがたい表情を浮かべているように見える。この気高い神の離島は、近くにあって実はもっとも遠い島かもしれない。


久高島 ウディ浜

住所 南城市字久高

宿泊関連問合せ
 久高島宿泊交流館

 098-835-8919

交通
 那覇空港より 40分(国道329号線を与那原方面へ−与那原警察署前で国道331号線へ−安座真港入口の信号を左折
BUS 那覇BTから50分−バス停 「安座真サンサンビーチ入口」 徒歩5分
定期船 安座真港から15~25分−久高島船待合所 自転車25分


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