2011年3月アーカイブ

《海牛》という生物をご存知だろうか。きっと《ウミウシ》と読み、磯の岩場でうごめく軟体生物を想像されたにちがいない。しかしここで云う海牛(カイギュウ)は大型の海洋生物を指し、人魚のモデルとも呼ばれる”ジュゴン”という海棲哺乳類のことである。

                       海洋博公園にいるジュゴンの兄弟分マナティー

ひと月ほど前に訪問した「海洋博公園」の一角にあった「マナティー館」にいたアメリカマナティーがこのジュゴンと同種の生物だ。

今や希少となった絶滅危惧種のジュゴンが棲むと云われる沖縄本島の「大浦湾」。

ジュゴン棲息海域としては、おそらく日本最後であろうと推定されている。

本島北部に位置する名護市の南東側、つまり太平洋に面した大きな湾である。

陸地に深く湾入した大浦湾の南側海岸域には米基地問題として話題をまいた辺野古(へのこ)の「キャンプシュワーブ」が占有し、湾岸北側は本島最大のリゾートと目される「カヌチャリゾート」で占められている。

建設予定になっている湾内米軍飛行場が及ぼすジュゴンへの悪影響を排除すべく、現在も地元民による抵抗活動が行われているようだ。

今回の目的地はこの大浦湾に接する一大リゾートエリアとして評判の高い「カヌチャ・リゾート」にした。ジュゴンの棲む今の海を目に焼き付けておこうというのが優先事項であったのだが、大浦湾を臨むには米基地のキャンプシュワーブは立入禁止なので、カヌチャ・リゾートから海を眺めることにしたのである。

名護市に入ってから国道329号線を東へと走るとすぐに大浦湾にぶつかった。大浦湾沿いのバイパスを北に走りながら何度か止まって湾を見学したが、長く駐車するところが無く、やはりカヌチャリゾートまで一気に行くことにした。

カヌチャベイ ホテル&ヴィラズのフロント棟

「カヌチャリゾート」の入口はすぐにが見つかった。ゲートをくぐるとだだっ広い駐車場が広がっている。

駐車後,ホテルメインフロントのあるフロント棟の建物に飛び込んだ。

そこで小休止を取りながら入手したリゾートエリアの全景マップをチェックすると、全域は80万坪にも及ぶ広大さであった。

大浦湾の海岸線はこのフロント棟の裏側に位置しており、窓からちらりほらりと海が見える。カヌチャリゾートの中心施設はかなりの高台、と云うより山合いに造成されたような高度の景観をもっているようだ。

リゾート施設も見学したいが、とりあえずは最優先事項の海を満喫したかった。ジュゴンの棲む海ながら簡単に出会える生物ではないので、そこは想像で補いながら海を眺めることにするしかない。

どうしても会いたい向きは、美ら海水族館そばにある「マナティー館」に行けば同種の生物”マナティー”が水槽の中で悠々と泳いでいるので足を運ばれたい。(トップの写真)

ジュゴンとマナティーの違いは尻尾の形だけなので風貌の大差は無い。しかしどこの誰がこのジュゴンやマナティーを人魚のモデルにしたのかと思うほど人魚のイメージからはほど遠い。よほど想像のたくましい御仁のようだ。

ジュゴンが出現しそうな青い海原の大浦湾、対岸の陸影は米軍基地キャンプシュワーブ

フロント棟の裏に出るとそこは小さなテラスで、前面には大浦湾のパノラマが展開していた。水上を疾駆する水上バイクが弧を描いている。

青く輝く海面の先には大浦湾南岸を占有する「キャンプシュワーブ」の米軍基地がかすかに見てとれる。久高島の透きとおるような青には及ばないまでも、やはり美しい海だった。

足元に広がる海岸線を見渡すと東側には白い砂浜とそばにはビーチサイドプールまで備えている。フロント棟の東には2連の低層ホテル棟 《アゼリア》《オーキッド》が斜面に張りつくように海を見下ろしており、全室オーシャンフロントの景観を約束しているかのようなゲスト棟だ。

ビーチへとつづくなだらかな坂道をゆっくり下って行くとプール沿いにパターゴルフのコースが見えてきた。このリゾートには本格的なゴルフコースもあり入口近くにクラブハウスがあったが、広域の敷地を最大に活用している。

カヌチャリゾート専用のビーチやビーチサイドプール

地球上の7割を占めている海、その深さと広さは測りしれないほどの体積になる。日本とインドネシアの間に横たわる10000mを超えるマリアナ海溝が最も地球で深いとされており、有人探査の潜航が一度成功したものの、いまだ謎のままである。世界一高いエベレストを逆さエベレストにしてもなお深いのである。

しかし地球のコアまではそのマリアナ海溝の630倍に相当する深さなのだ。マリアナより深い裂け目や深淵がいつ発見されないとも限らないほど未知領域を秘める海である。

同じ未知領域でも宇宙に比べ、海に抱く愛着やこだわりはつねに人類とともにあったように思う。そんな海にまつわる話はアンデルセンによる童話「人魚姫」を筆頭に日本の「浦島太郎民話」やギリシャの「セイレーン神話」など世界中に溢れており、有史以来人類が海にロマンを育んできた証左とも云える。

木陰で波の音を聞きながら、なぜか《引き寄せられてしまう海》にそんな理屈を当てはめていた。

山肌の斜面に建つ宿泊棟の「オーキッド」

1時間ほどだったが大浦湾の風景と潮風を心ゆくまで愉しむことができビーチを後にした。

坂道をふたたび昇って行くと、丘陵の斜面はホテルの宿泊棟でおおわれている。建物は低層だが白と青の彩色が輝いており、全室のバルコニーが行儀よく海を向いていた。

カヌチャリゾートのマップを取り出しじっくり眺めると、ここの施設は大きくホテルとゴルフ場の2つから構成されている。

宿泊用施設建物は、眺望のよい高層タワータイプから贅沢なヴィラタイプまで9つの宿泊棟が、広大な地域内の山や海を借景とした各所に点在していた。

ゴルフコースは宿泊棟の外側から包みこむように自然地形を生かして設計されているようだ。


その他の施設はありとあらゆるものに対応していた。ウェディング用チャペル、エステや健康のクラブ、リラクゼーション用スパ施設、マリンアクティビティーの多種プログラム、雨の日のことを考慮したのかビリヤードから卓球、伝統工芸工房まで用意されていた。そして10以上もの飲食施設がやはり広域に配置されている。

ホテルフロント棟に戻ると親切なスタッフのひとりからリゾート内のウォーキングコースを教えてもらった。ホテル推奨の3つのコースのうち、ブルーコースと呼ばれている海沿いのコースは意識せずに歩いてきた先ほどのルートだった。合わせてリゾート内での無料のトロリーバスが周回している情報も得た。

その結果、所要時間25分というリゾート内を一周する一番長いグリーンコースを歩いてみた。亜熱帯の花や植物にあふれた北部ならではの緑のコースであった。ゆっくり歩いたり付設の建物をのぞいたりの寄り道で40分近くかかってしまった。

途中にあった建物「アマハジショップ」内にあったカラオケや麻雀だけはいただけない。こんなリゾートまできてカラオケや麻雀などやる人がいるのだろうか。何でもあるより、何もない方がよほど贅沢な時間を過ごせそうな心持ちになってくる。

ゲストが敷地内から出ることなくすべての要望に対応してくれるリゾートホテルは他にもあるが、ここの最大の魅力はその領域の広さであろう。北部らしい広角の空と自然を舞台にしたさまざまな景観は確実に日常を忘れさせてくれる。

          ウォーキングコースの途中で撮ったスナップ


「カヌチャベイ ホテル&ヴィラズ」のガイドページへ


ジュゴンが棲むという大浦湾に面した「カヌチャベイ・リゾート」に別れを告げ、一路 那覇へと車を飛ばしていた。車道から照り返す陽が目を強く射てくるのでサングラスをつけた。

ロスで愛用していた POLICE のサングラスだ。 LAのフリーウェイは山脈をはさんで漢字の井の字に走っているので、走行中 真正面に真っ赤な太陽ということなどは当たり前。サングラスは必需品なのである。

東京でのスタイル優先のサングラスとは訳がちがう。逆光ひとつで命とりの事故が発生しかねない街だ。

ロスに3年も住めばサングラスのかけ時が身についてしまうものらしい。

今までいた「カヌチャベイ ホテル&ヴィラズ」のホテルつながりでホテルめぐりを思いついた。

陽が完全に落ちきるまでには優に3〜4時間はありそうだ。

さっそくMAPを広げて那覇までの帰りルート上にあるホテルをチェック。

結局訪問してみたいホテルの候補はふたつだけであった。恩納村と名護市の境界ぎわに建つ「オキナワ マリオット リゾート&スパ」 と 読谷村にある「ホテル日航アリビラ」 の2ヵ所。いずれもバス便だけの旅行では訪問がかなわなかったホテルである。

しかし宿泊ゲストでもない筆者のような物見高い訪問者、ホテル側にとっては実に迷惑な話である。とは云うものの、近い将来 短期滞在で泊らないとも限らないのだから、寛容な気持ちで受け入れてもらいたい。

亜熱帯植物に囲まれたマリオットの正面

幹線道路の国道58号線まで戻り東シナ海沿いを走っていると、まもなく「ブセナリゾート」のそばを通り過ぎた。

このリゾート内にある 「ザ・ブセナテラス ビーチリゾート」 はとても気に入っているホテルだ。そこからほどないところにあるのが 「オキナワ マリオット リゾート&スパ」。

「ブセナ〜」が海ぎわに位置しているのに対し、「マリオット〜」は58号線の内側つまり山側にあった。国道沿いの「かりゆしビーチ」から山肌を縫うように上る道を行くと高層の「オキナワマリオット」が現れる。

正面に近づくと15階造りの宿泊タワーに囲まれた低層の建物が迎えてくれる。メインフロントのあるその建物の外周には亜熱帯植物がこぼれるほどに溢れている。

高台からは東シナ海を一望できるが、いかにも海岸ビーチから遠い位置であることは否めない。

ホテルに入る前にとりあえず周辺を散策してみた。まず一番に目立っていたのがガーデンプールで、170m にも及ぶその長大さは県内一だという。海がやや遠いこともあって敷地内の水場として強くポイントを置いたのだろう。

ウォータースライダーなど水遊び三昧ができるこちらのプールはビジター OK になっていた。プールのそばには宿泊ゲストが利用できる「かりゆしビーチ」まで周回するホテルバスの発着所もあった。

その「かりゆしビーチ」は以前に恩納村の海岸線をバス旅行した折り、立ち寄ったこともある小ぶりの海岸ビーチである。「かりゆしビーチ」の旅ブログ(BLOG 39)

           のんびり水遊びができそうなガーデンプール

ロビーホールに入ると、空間をたっぷりとった大理石のフロアにはガラスに覆われた天蓋から陽が射しこみ心地よい照度になっていた。

ロビーフロアにあるラウンジで水分補給のひと休み。落ち着いたインテリアはマリオットホテルらしい水準のもので内装はまだまだ新しい。

現地に直に接触すると、宿泊してもいないが部屋のタイプも 享受できる空気感やサービスも おおよその見当はつくものだ。

メインフロントのあるロビーフロア

世界中にホテルを経営するマリオットを冠するだけあって、この沖縄でも平均点は高い。

しかし惜しむらくは立地の半端さだろう。

海から遠く、高台にあっても午前中訪問した「カヌチャベイ ホテル&ヴィラズ」ほど緑の自然に囲まれることもない。

そのかわり、魅力的な施設があった。《スパ》だ!


ドライサウナバス、ジェットバス、アロマバス、クールバスなど5種類のスパが揃う。このスパ施設もガーデンプール同様、ビジターの入場が可能だった。

1階にあるそのスパに、もののはずみで入場してしまった。いずれのスパも屋内というよりは戸外につながる意匠がされていた。ちなみに水着の着用が規則になっており、スパ用水着はホテルに常備されている。

さすがに夏の真っ昼間 スパ遊びは酔狂に過ぎると思ったが、とても広く大きな空の下で遊ぶスパは非日常感があって最高だった。このあとの計画をすべて取りやめ、一泊しようかと迷ったほどであった。



オキナワ マリオット
     リゾート&スパ

住所 名護市喜瀬 1490-1

電話 0980-51-1000

交通
 車
 那覇空港より 90分(国道58号線を北上−かりゆしビーチ右折)
 沖縄自動車道(高速)を利用の場合80分(許田ICから国道58号線を南下10分−かりゆしビーチ左折)   空港リムジンバスを利用の場合125分

 BUS 那覇BT105分(名護西線20番)−バス停 「伊武部」 下車7分




ガイドページ


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