識名園 −しきなえん−

今も往時の息づかいが聞こえる王家別邸の庭


正門(写真中央上) ガジュマルの根が地を這う階段(左下) ランタナの花(中央下)


琉球王朝の首里城から南に位置する王家別邸の庭園である”識名園(しきなえん)”。中国からの皇帝の使節を接待するなど中国交流の重要な舞台ともなった名園で世界遺産にも登録された。

本土に残る大名庭園と同じ池泉回遊式の庭園で、池のまわりには日本を強く意識づけるためか松が植樹されている。こういった様式の造営には中国からの使節に対し琉球王国の背景には日本本土がついていることを意識させるための政治的配慮とも云われている。400年もつづいた中国との国交は琉球にとって重要な国事であったため、いたるところにその影響が色濃く残る。

                            中島に架かる琉球風の石橋

”福州園”の5倍もある総面積42000平米という広さを有し、庭内は実におおらかでゆったりとしている。池を中心にしてそのほとりには主屋敷となる”御殿(うどぅん)”やあずまやなどが点在し、外周に行くほどガジュマルなどの樹木が緑を濃くしてゆく。

中心にある池には中島があり2橋が架かる。庭園内にある橋は全部で3橋のみだ。まずこの2橋だが、ともにアーチ型の橋でひとつは琉球風の橋として海水に浸食され穴のあいた石灰岩だけで造りあげた洞窟を思わせる橋。

もうひとつは同じ石灰岩だが侵食の無いものを綺麗に切り出し、あいかた積みにした中国風の橋で、中国絶景のひとつでもある「西湖の六橋」を模して造成されている。

まだ中国を思わせるものが近くにあった。池の中に建つ「あずまや」である。黒瓦を敷きつめた2層の屋根が特徴の”六角堂”だ。そしてこの”六角堂”へと架かる橋がやはり中国風のアーチ石橋で三つ目の最後の橋となる。

池の正面にある”御殿”は解放されているので屋内をゆっくり鑑賞できる。また近くには”育徳泉”という池の水源にもなっている水場もあり、水のある風景を楽しめる。


池から離れ外周へ向かって散策すると、奥行きを感じさせるように路はS字型に曲がりくねり、しだいに緑が濃くなってゆく。ガジュマルの根が地表を覆うように広がり、ときおり深い緑の中に色づけの花が顔を見せる。「ランタナ」という別名を「シチヘンゲ」とも呼ばれる常緑低木にあざやかな花が咲いていた。面白いことに、この花は時間経過とともに色を変えてゆく。

池の南側に舟遊び用の舟を陸に引き揚げる場所があるが、そこから南の外周へ向かうと急坂の登り路になる。そこを登りきると一挙に視界が広がる高台に出る。那覇市街から南部方面が270度展開している。この高台は、その昔中国からの冊封正使がここからの景色に感嘆し残した言葉から”勧耕台”と名付けられたという。その謂われの記念碑が立っていた。



                  あいかた積みの中国風石橋(左上) ”勧耕台”からの展望(右上) ”御殿”(左下)  ”六角堂”(右下)


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識名園

住所 那覇市真地421−7
開園時間 9:00〜17:30 (4月1日〜9月30日)
 9:00〜17:00 (10月1日〜3月31日)
水曜定休 (祝日もしくは慰霊の日にあたる場合翌日)
入場料 大人 300円 小人 100円
施設 自販機/駐車場(60台)
電話 098−855−5936 (識名園管理事務所)

交通
 BUS 那覇BTから25分(識名開南線2番・松川新都心線3番・識名牧志線5番)−バス停 「識名園前」 下車1分
 車 那覇空港より 20分(国道329号線を国場方面へ−国場交差点を過ぎ上間の信号左折−真地の交差点を左折−スグ左手 県道222号線沿い)